イーサリアムのThe merge(ザ・マージ)のアップデートでメインネットに統合されるビーコンチェーン。このビーコンチェーンの実装の目的を本記事では解説させていただきます。
ビーコンチェーン(Beacon Chain)とは?~目的とメリット~
ビーコンチェーンは以下の目的で作られているブロックチェーンです。
- PoS(Proof of Stake)の承認アルゴリズムに移行
- ステーキングの導入
現状(2022年7月)では、ビーコンチェーンとメインネットは別々に存在しており、PoSではなくビットコインと同じPoW(Proof of Work)の承認アルゴリズムを利用しています。イーサリアムを利用したDeFiなどのDappsの普及が進み、スケーラビリティ問題をかかえているイーサリアム。この問題がPoSへ移行することで解消していく計画となっています。
更に、この移行でセキュリティ面でも向上すると言われています。PoWではバリデーター(承認作業する人)が少なく、少数のマイニングファームなどに権限が集中しやすい側面があります。しかし、イーサリアムのPoSは最低でも32ETHを保有するバリデーターが16,384人必要としており、権限の集中が緩和され分散化が進むとされています。
The merge(ザ・マージ)後に実装されるシャードチェーン(Shard Chain)とは?
PoSに移行すれば、すぐにスケーラビリティ問題が解決する訳ではありません。問題を解決するためにシャードチェーンを提供する予定です。シャードチェーンはシャーディングを実行するブロックチェーンになります。シャードチェーンを実装することで、分散化の促進とスケーラビリティ問題を解決に導きます。以下で理由を説明します。
シャーディングとはIT業界で利用される言葉でデータベースの負荷を分散する手法です。
例えば本来、トランザクションを検証するのに100の労力が必要だったとします。その検証を一人のバリデーターが対応する場合、100の労力が必要になるのですが、それをシャード(細かく分割)することで10人のバリデーターが一人あたり10の労力をかけることで、100の労力を検証できるようになります。このように少ない労力でも検証に参加でき、一人あたりの検証負担を減らすことでスケーラビリティ問題を解決しようとしています。また悪意をもったバリデーターがデータを改ざんできないようにバリデートするデータはランダムで割り当てられ、悪意をもったバリデーターはBeacon Chainによって監視される予定です。
そのため、シャードチェーンの実装後はスケーラビリティ問題解決だけでなく、セキュリティも高まりも期待されています。